会長挨拶

発想の転換 〜既成概念を打ち破る〜

第70回日本皮膚科学会西部支部学術大会
会長 森田 栄伸(島根大学医学部皮膚科学教授)

2018年11月10日(土)、11日(日)に、島根県民会館にて第70回日本皮膚科学会西部支部学術大会を開催いたします。縁結び神話の舞台である島根県に皆様をお迎えし、この学術大会を開催できますことを大変光栄に存じます。

学術大会を開催するにあたり、大会のテーマを「発想の転換 〜既成概念を打ち破る〜」といたしました。医学においては先達の研究により多くの疾病の原因病態解明がなされ、その成果は有効な治療法の開発に寄与してきました。その中には、従来の常識を覆すような数々の研究が含まれます。

利根川さんの分子生物学的手法を用いた抗体多様性の機序の解明は、それまで抗体産生における通説であったクローン選択説を覆す発見であり、それにより免疫学と抗体製剤の大きな進歩をもたらしました。最近では山中先生によるiPSの発見があり、わずか数個の遺伝子導入で皮膚の細胞を未分化幹細胞へ転換できるという画期的なもので、今後の医療を大きく変えようとしています。アレルギー領域では、Lack先生の二重抗原暴露仮説があります。食物アレルギーは抗原の消化管経由の感作ではなく経皮感作によるとする学説で、食物アレルギーの既成概念を打ち破るものでした。

一つのものも見方を変えれば、別のものが見えてくることはしばしば経験されることです。学術大会宣伝ポスターはテーマである「発想の転換」をイメージしたもので、因幡の白うさぎをモチーフにした月夜の晩に海原を翔る白うさぎの図案ですが、少し見方をかえれば波間から顔をあげる鮫の頭が浮かび上がって見えてきます。皮膚科の分野においても、発想を転換してそれまでの思い込みを打ち破ることでいろいろな発見が得られるはずです。それは目の前の患者さんの小さな皮疹についても当てはまることかもしれません。

この学術大会では、このような観点からの成果が集積され、今後の皮膚科学研究や診療の進歩に生かされることを祈願してプログラムを組みました。この学術大会が、将来の皮膚科学の大きな発展に繋がるきっかけになれば幸いです。

11月は少し寒くなりますが、山陰では海の幸と温泉によい季節です。懇親会は島根県民会館から少し離れたフォーゲルパークの屋内施設内の花の楽園にて行い、山陰の味覚を堪能していただく企画としています。この学術大会にて多くの皆様に山陰を満喫していただけるようご来場をお待ちしております。